第10回日本ホラー小説大賞受賞作です。
なんというか、コレや『夏の滴』がOKで『バトル・ロワイアル』がNGというホラー大賞の倫理基準がイマイチ分かりませぬ。
表題作『姉飼』は串刺しにされた姉を昆虫を飼うように飼う話。そのまんまです。
でも、私が本当に面白くて不気味だと感じたのは、姉に対する残酷描写よりも〝蚊吸豚〟〝脂祭り〟といった奇妙な生物・風俗に関する描写でした。現実に存在しない生物をこんなに生々しく気持ち悪く描けるのはスゴイ才能だと思いました。最後に収録されている短編『妹の島』においても〝オニモンスズメバチ〟の壮絶な生態に寒気を感じましたし。
残酷恋愛ホラーもいいかもしれませんが、この作者にはぜひ生物モノのパニック小説を書いていただきたいです。
(07/02/21)