『たったひとつの冴えたやり方』にも出てきたような、知性をもった異星の共生生物と、惑星探索に訪れた人間たちとの交流を描いたお話。ティプトリー作品にありがちな毒はあまり無くて、素直な希望に溢れたストーリーが展開します。
ちょっとびっくりするのは、この短編の始めの部分が共生生物の一人称で書かれているところ。
「なぜこんな異形の共生生物が人間のような言語能力を持っているのか」というSF的な疑問を、後々の伏線で回収している所なんかは、さすが技巧派という感じです。
これで、この人の作品で読んでいないのはだいぶ少なくなったかな。あるだけの作品を全部読んでしまいたいという欲望はありますが、 ( もう新作がでないから ) 全部読み切ってしまうのは勿体ないという気持ちもあって、なかなか複雑です。
(原文2009/12/13)