異星の酒場で大富豪の冒険家ローク・フォン・レイが勇敢な宇宙船乗りを求める所から、物語は動き出します。目的は超エネルギー物質イリュリオンをノヴァ化する恒星から掴み出すこと!
スペースオペラとしては王道の幕開けなのですが、それから終盤直前にいたるまでの展開は結構スペオペの定石から外れた感じの話になります。宇宙船ロック号の航海が冒険というよりも観光といった方がいいくらいゆったりしているせいです。
『絢爛華麗な風景を見せる』(by オールディス)という点で、確かにこの作品はワイドスクリーン・バロックなんだろうなと思いました。乗組員も戦士というより芸術家っぽい人が多いですし。
文化の理論について色々喋って悦に入るインテリ青年カティンと彼の言葉に反発しながらシリンクス演奏で文化を実践してみせるマウス。この二人のキャラの対比がとても良かったです。
終盤直前まではゆったりとしているんですが、ノヴァが始まってからのスピード感はかなり凄いですね。最初から最後までワクワクしながら楽しめました。