この中の『友と最良の人間』という短編、どこかで読んだ話だと思ったら、昔読んだ犬小説アンソロジー『幻想の犬たち』にも収録されていました。
『幻想の犬たち』の佐藤高子訳に比べると『友と最良の人間』の浅羽英子訳は病弱少女チリッチの喋り方がかなり子供っぽくなってます。
収録作を読んで気づいたのですが、ジョナサン・キャロルの作品は大人の女性より若い娘・少女をヒロインとして設定しているものが多いんですね。
病弱少女のでてくる『友と最良の人間』がそうですし、自殺した娘が掃除にやってくる『おやおや町』も。表題作『パニックの手』も最終的に主人公が相手に選ぶのは大人の女性ではなく少女です。
『パニックの手』はコンピュータゲームの話題をものすごく自然に扱っているところに物語以上に感動してしまいました(『パニックの手』とは作中に出てくるゲームのタイトル)。
ゲームの話題を自然に扱えるジャンルはライトノベルかSFくらいだろうと思っていたので、こういう使い方もあるんだなあと目から鱗が落ちた感じです。
(07/02/08)