『ゾティーク幻妖怪異譚』 クラーク・アシュトン・スミス

星座が形を変えるほどの遠未来、太陽の光は弱まり、海の大半が蒸発し、都市が砂に埋もれゆく終末期の地球で、最後に残った大陸ゾティークを舞台にした一連の短編集です。

ゾティークは未来の地球というより、退行した中世異世界のような感じですね。邪悪な魔術が横行し、名も忘れられた数々の邪神と魔物が跋扈する異世界。雰囲気的には、ラヴクラフトの邪神が現実に存在して、信仰を集めているような世界といえばいいでしょうか。
退廃極まりない、本当に『終わっている』世界が、17の短編で美しくも不気味に描かれています。

そんな中でも印象に残ったのは『エウウォラン王の航海』。
逃げ出したガゾルバ鳥の最後の一羽を追って、世界の果てまで航海するエウウォラン王の話ですが、この話だけ他の短編と違った毛色の結末になっています。残酷というより皮肉が効いているというか。エウウォラン王の描写は、ギリシャ神話のミダス王を思い起こさせるものがあります。

(2009/11/18)

投稿者: shirone_koma

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