『青い蛇』とセットになっている短編集。こちらに収録されている短編ははっきりした傾向があって、生者が知らずに死者と交わってしまう、というタイプの怪談話が多いです。とはいえ、この作者の持ち味である物語の定型を外したような奇妙な展開もちゃんと散見されます。
解説ではユーモアのある話とされている『売り別荘』が、私にはかなり怖かったのですが、、、
<売り別荘>の看板を掲げて客を迎えておきながら、「この別荘は売り物では な い 」という矛盾する書き置きを残して別荘の主人がいなくなってしまうのは意味不明すぎて怖いと思うのですよ。
表題作の『黒い玉』も主人公がなぜあのような災難に見舞われるのか分からない点が不気味です。
(2008/08/06)